第4部

3月28日、横浜スタジアム付近のホテル。トラ戦士たちはそこを出て、開幕戦の行われる横浜スタジアムへと向かった。開幕戦の相手は状況の通り横浜ベイスターズだ。
高木は去年まで2軍だった。横浜の2軍湘南シーレックスは、阪神の2軍とはリーグが違う。つまり高木は横浜とは初顔合わせである。高木はそれが分かっていたのか、やや神妙な面持ちで球場に到着した。そのままの表情でユニフォームに着替えていたら、桧山が話しかけてきた。
「高木、んな緊張することないで。ベテランの俺かて相手チームかて開幕戦は緊張してんねんぞ。でもな考え方次第で大分気持ちはかわるで。」
「桧山さんはどういう考え方をしてはるんですか?」
高木は桧山の意見を訊いて参考にしたかったが、桧山はこう答えた。
「自分で考えな。」
「え!?」
「自分で考えてリラックス方法を見つけなあかん。」
確かに桧山の言うとおりだ。高木は納得した。

いよいよ試合開始まであと10分となってきた。オーダーは既に発表されている。
阪神 4今岡 8赤星 7金本 9濱中 3桧山 5アリアス 8矢野 6藤本 1井川
横浜 6石井 9種田 7鈴木尚 3T・ウッズ 4小川 5古木 8金城 2中嶋 1吉見
高木は先発メンバーから外れベンチスタートだった。1回表阪神の攻撃、横浜の先発は吉見。吉見は今岡を打ち取ったあと、赤星に四球を与えるが無難に3アウトを取った。一方井川も横浜打線を三者凡退にした。そして2回裏に試合が動いた。
先頭打者のT・ウッズが四球を選ぶと5番小川の一塁内野安打で無死一・二塁。6番古木を三振にとるものの、7番金城に二塁打を打たれ1点先制されて尚も一死二・三塁。8番中嶋を一塁ゴロにとり二死二・三塁。ここで9番投手吉見に左前安打を打たれて、この回2点を先制された。3回にも1点を追加され、阪神0-3横浜で3点を追う展開となった。
やってきた7回表、先頭打者今岡の中前安打に続き、二つの四球、代打広澤のタイムリーで2点を返した。しかし反撃もここで終わり、8回裏には金澤がT・ウッズに駄目押しのソロホームランを打たれた。

阪神2-4横浜で横浜が勝利した。2年目の星野阪神は初戦を落としてスタートを切った。高木は出場機会が無かった。

しかしその後阪神は横浜に2勝1敗とこのカードを勝ち越した。その間高木は1試合に出場し、1打数1安打で見事プロ初安打を飾った。

~続く~

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