第2部

2月14日、宜野座から安芸に移って第二次キャンプが始まった。次の日に紅白戦を控えてるだけあって、皆頑張っている。先発予定の安藤は張り切ってブルペンに向かっていった。
高木も気合を入れ、トスバッティングを100球行うことにした。81球目に差し掛かったとき、高木はそれを止めた。
「すいません、右足が張ってるような気がするんです。」とりあえずこの日は練習を終えた。ホテルに戻ろうとした高木は島野ヘッドコーチに呼び止められた。
「高木、明日の試合でお前の評価は大きく変動するぞ。頑張れよ。」島野ヘッドコーチに激励の言葉を受けた高木は嬉しそうに言葉を返した。
「はい、頑張ります。」

2月15日、キャンプ初の紅白戦を迎えた。高木はスタメンを聞いてやや驚いた。高木は紅軍の6番セカンドで先発出場だった。ちなみに白軍のセカンドは今岡である。これは完全なレギュラーポジション争いだ。
1回表は紅軍の攻撃で始まった。紅軍の先頭打者の赤星はいきなりセンターに球をはじき返し、すかさず二盗を成功させた。
1回裏、今岡は3番として出てきた。先発の安藤の球を見事に捉え、左中間二塁打を放った。
一方高木は2打席凡退後、7回表2死1塁の場面で左前安打を打ち、3打数1安打だった。評価は上がるかどうか微妙なとこだ。

紅白戦翌日、高木は右足太ももの張りを訴え、練習を休んだ。

2月20日、思ったよりも長引いた太ももの張りも治り、練習に合流した。グラウンドに出てみるとそこには長嶋終身名誉監督がいた。
長嶋氏に一言挨拶をすると高木はトレーニングに励んだ。長嶋氏はバッティングゲージの近くで濱中を指導していた。
高木は長い休養期間があったためランニングを重点的にトレーニングをした。

2月22日、翌日にオープン戦初戦を控え、練習にも熱が入る。高木の体調は万全に近い状態になっていた。
練習後、ホテルに戻った高木は緊張とともにいろいろなことを思い出していた。1軍でオープン戦を迎えるなんて高木にとって初めての出来事だ。
去年はファームで2割9分2厘、本塁打11本、打点46点の記録を残した。たまに遊撃手で試合に出場したとき。その試合で2エラーしたこと。
全ての努力は今この瞬間報われたのだ。勿論オープン戦に出れて1人前の選手ではないが、高木にとっては大きな意味がある。
高木は今、全ての思いを馳せて就寝した。

~続く~

<<<   >>>